【事例】DtoC(D2C)の概念やメリット・成功の秘訣を解説!
近年様々な業界でDtoCという言葉が注目を集めています。
ただ実際のところDtoCについて説明できる人はそこまで多くないのが現状です。
- 一体DtoCとは何なのか?
- DtoCを取り入れるメリットとは?
今回は、DtoCについて深く知りたい方や、DtoC事業への参入を考えている方向けに、これらの疑問を解説していきます。
本記事で、国内外の実際の成功事例と一緒にDtoCについて深く理解し、DtoCビジネスの成功確率を少しでも高めていきましょう。
目次
DtoCとは?
DtoCとは、英語の「Direct to Consumer」の頭文字を取ったもので、メーカーやブランドなどの商品製造者が仲介業者を介さずに直接顧客と販売取引を行うビジネスモデルを指します。
実はこの仲介業者を介さないモデルは、特別新しいビジネスモデルではありません。
歴史を遡ると、昔は自分で作っていたものを直接顧客に販売する「直販」が主流でした。
それでは、なぜこのDtoCがこの時代に注目を集めているのでしょうか?
その理由はインターネットが普及し、顧客が欲しい情報や商品に直接アクセスできるようになったからです。
従来の「直販」だと、顧客側は自分の目の前にいる相手の商品を見て買うことしかできませんでした。
しかしながら、インターネットが普及したことで、顧客は世界中の商品を比較して、その中で一番良いものを選んで買うことができます。
これが、従来の直販とDtoCとの最も大きな違いです。
なぜDtoC が注目されているのか?
それでは、一体なぜこれほどまでにDtoCが注目されるようになったのでしょうか?
EC市場が拡大している
DtoCが注目されるようになった理由の一つとしては、EC市場が拡大していることが深く関係しています。
経済産業省の報告書を見ると、ここ数年でECの市場が順調に拡大を続けていることがわかります。
2010年と比較してみてもEC市場の売上は2倍以上にもなっています。
出典:経済産業省 平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)報告書
スマホ端末経由で買い物する顧客の増加
スマホ端末経由で買い物をする顧客が増加したことも、DtoCが注目されるようになった理由の一つです。
物販分野におけるEC市場においては、スマホ経由でのEC市場規模が2018年では全体の39.3%を占めています。
出典:経済産業省平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)報告書
このようにスマホ経由での取引が増えた原因は、スマホ端末の普及率が上昇したことに由来していると考えられます。
スマホの普及率が増えれば増えるほど、スマホで買い物をする人の母数も大きくなるため、現在小売業、アパレルや食品などの幅広い分野の企業が自らECサイトを立ち上げて、DtoCに挑戦するようになりました。
仲介業者を介す必要がないDtoCのビジネスモデルは、コストを大幅に削減できるだけでなく、顧客との結びつきを強められるという大きな利点があります。
こうしたメリットから、これからもDtoCを取り入れる企業は増えていくことが予想されています。
ECサイト構築のハードルが下がってきている
さらに、ECサイト構築のハードルが年々下がってきていることも理由のひとつです。
「楽天」や「Amazon」など、既に知名度のある他社ECサイト内で自社商品を販売する場合、集客コストを抑えられるなどのメリットがあります。
一方で、手数料を取られたり、ECサイト側の意向に従わなければならないなどのデメリットがあります。
2020年には、楽天市場がサイト内で税込3980円以上を注文した顧客に対し、送料を一律0円にするという意向を示し、出店者団体が猛反発したのは記憶に新しいでしょう。
このように、他社ECサイト内で商品を販売する際は、ECサイト側の意向に逆らえなくなってしまいます。このようなデメリットを受け、DtoCに挑戦し、独自のECサイトで独自の販路を確保する企業の動きが強まっています。
「BtoB」「BtoC」「CtoC」とは何が異なるのか?
DtoCについて理解できたところで、よくDtoCの比較対象として挙げられる「BtoB」 「BtoC」「CtoC」という用語について、それぞれ違いを確認していきましょう。
BtoB(企業間取引)
BtoBとは、英語のBusiness to Businessの頭文字を取ったもので、企業間での取引を指します。
イメージしやすいように具体例を挙げると、自動車の部品製造業者などは代表的なBtoBの例です。
製造された自動車の部品は、自動車メーカーに納品されます。
この場合、自動車部品を製造する企業が、自動車メーカーに部品を販売するという企業間取引の形になるので、BtoBになります。
BtoC(消費者向け取引)
BtoCとは、英語のBusiness to Consumerの頭文字を取ったもので、企業が消費者向けに行う取引を指します。
私達が日頃スーパーマーケットで行う買い物なども、このBtoCのケースに当てはまります。
他にも、Amazonや楽天市場などのECサイトも、企業から個人が商品を買うという形になるのでBtoCになります。
CtoC(個人間取引)
CtoCとは、英語のConsumer to Consumerの頭文字を取ったもので、個人間取引を指します。
CtoCの代表的な例として、昔ならフリーマーケット、現在ならメルカリなどのフリマアプリが挙げられます。
また、最近では教えたい人と学びたい人のマッチングサービス「ストアカ」や個人製作のハンドメイド品を個人に販売するminne(ミンネ)など、CtoCの市場規模も年々拡大しています。
DtoC業界がトレンドになっている業界とは?
インターネットが発達し、消費者行動にも変化が起きたことで、DtoCへの転換がブームになってきています。ここでは、その中でもDtoCへの転換が特に活発な3つの業界を紹介します。
小売業界
右肩上がりのDtoC業界に小売業界も注目し始めています。
例えば、メンズコスメブランドBULK HOMME(バルクオム)は、自社ECサイトからのサブスクリプション型ビジネスを展開しています。
BULK HOMMEは創設初期、オンライン販売や小売店舗での販売が上手く行かず伸び悩んでいました。
そこから試行錯誤を続け、現在の売上の主軸となっているサブスクリプション型のビジネスにたどり着きました。
そこから売上が少しずつ安定すると、BULK HOMMEはブランドの認知を広げるために、有名人の起用を始めました。
2018年には窪塚洋介さん、2019年にはグローバルアンバサダーとしてキリアン・エムバペ選手を起用しました。
そして2020年には木村拓哉さんを起用したCMを開始しました。
BULK HOMMEは現在オンラインの直販以外にも取り扱いルートを少しづつ広げ、現在はAmazon、yahooなどの大手ECサイトでの販売や、業販を行うことで各店舗などでも購入ができるようになっています。
木村拓哉さんがCMに起用された2020年秋には、大手ドラッグストアでの取り扱いもはじまり、少しずつ市場でのシェアを広げている勢いのある企業です。
コストを抑えたDtoCから店舗へと販路を拡大している良い例ではないでしょうか?
食品業界
食品業界でも、DtoCがトレンドになってきています。
参考:日清食品オンラインストア
例えば、インスタントラーメンで有名な日清食品は、ECサイトからどんな商品でも1食から購入でき、即日出荷するようにしたことで、多くの顧客から人気を集めています。
また、自社ECサイトではスーパーマーケットで買える商品だけでなく、通販限定の商品も取り扱っています。
さらに、新商品を数量限定でECサイトで先行販売することで、オンライン上での顧客の反応を見て、需要を予測する事にも応用しています。
最近では、Uber eatsなど配達サービスの拡大から、自宅で美味しいものを食べたいというニーズも高まっているので、これからも食品業界のDtoC化は加速していくでしょう。
アパレル業界
DtoC事業のイメージが一番強いのはアパレル業界ではないでしょうか?
アパレル業界では、ユニクロのような大企業からスタートアップ企業など多くの企業がDtoCに取り組んでいます。
参考:FABRIC TOKYO
例えば、オーダーメイドスーツで有名なFABRIC TOKYOでは消費者一人ひとりの生き方にあった一着を提供しています。
店舗では商品を販売せず、店舗でサイズ測定を行った後に、スマホからスーツを注文できることが特徴です。
FABRIC TOKYOは、実店舗で顧客がスタッフと対面で交流することにより、ブランドへの信頼感を高めリピーターの獲得に繋げています。
DtoCのメリットとは?
店舗がDtoCを導入するメリットとして、余計な仲介手数料を削減できる事が真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、DtoCにはそれ以外にも様々なメリットがあります。
DtoCのメリットは大きく分けて以下の4点が挙げられます。
- コストを削減し利益率を高められる
- 顧客との関係強化
- 顧客データを蓄積できる
- ブランドイメージの強化
DtoCのメリットを最大限活かすためにも、これらのメリットを一つずつ確認していきましょう。
コストを削減し利益率を高められる
まず、1つ目のメリットは仲介業者を介さないビジネスモデルにより仲介手数料を削減できるという点です。
これまでの販売モデルの場合、製造業者は主に製造のみを担当し、製造後の販売は、仲介業者が担当するという流れが主流でした。
従来の方法だと一般顧客のもとに商品が届くまでに卸売業者や小売業者、ECサイトなど多くの仲介業者が関わっていたため、多額のコストがかかっていました。
しかし、DtoCのビジネスモデルでは、商品の企画や販売、そして発送や集客まで全てを自社で行います。
このように一般顧客のもとに商品が届くまでの一連の流れを全て自社で担当するので、手数料などの中間コストを削減が可能です。
さらに店舗側は自分たちの利益率を維持しながら適正な価格で顧客に販売することができます。
DtoCビジネスはブランドによっては製造をOEM(外注)している企業もあるので、製造に必要な機器などの設備投資を省くことができ、初期費用が抑えられるというメリットもあります。
顧客との関係強化
これまで、商品を製造するメーカーは仲介業者を介して顧客に商品を販売していたため、顧客の要望や不満など、顧客の細かいニーズを拾うことが難しいとされていました。
しかし、商品の企画から販売までを自社で行うDtoCでは、売り手と顧客の距離が近く、顧客一人ひとりの声を直に聞くチャンスがあります。
顧客の意見を取り入れて商品開発していくことで顧客満足度も高まり、結果としてリピーターの獲得にも繋がります。
顧客データを蓄積できる
顧客データを蓄積できることも、DtoCのメリットです。
これまでは、仲介業者が介在していたため製造、流通、販売のそれぞれの段階で個別にデータを集める必要がありました。
しかし、DtoCのビジネスモデルの場合、製造から販売までの一連の流れを一括して自社で行います。
そのため、社内で顧客データが蓄積でき、より的確な顧客分析が可能になります。
顧客の購入履歴をもとに、さらなる商品開発を行ったり、効果的な販売戦略につなげることができるでしょう。
ブランドイメージの強化
顧客との距離が近いDtoCの場合、顧客に自社のビジョンや、ブランドイメージが伝わりやすいので、ブランドイメージの強化に繋がります。
ブランドイメージの強化は、ブランドに対するコアなファンの獲得にも繋がり、コアなファンの口コミから新規顧客を獲得できるというプラスの循環を生み出すことができます。
「この会社だから安心」「このブランドだから」という理由で選んでもらえるようになると、長期的な広告費の削減にも繋がることでしょう。
DtoCのデメリットとは?
ここまでメリットを紹介してきましたが、DtoCにはデメリットが存在しないわけではありません。DtoCのデメリットは大きく分けて以下の3点が挙げられます。
- システム開発にコストがかかる
- 顧客が商品に直接触れて確かめる事ができない
- 集客や情報発信を自社で行う必要がある
自社でDtoCを検討する際には、これらの点について特に注意する必要があります。
効率的な導入を行うためにも、DtoCのデメリットについて理解を深めていきましょう。
システム開発にコストがかかる
DtoCでは、製造から販売までの一連の流れを全て自社で行う必要があるため、初期の段階でそれらの仕組みを構築する必要があります。
ECサイトの開発は以前に比べると、コストはかなり下がったものの、自社オリジナルの機能を導入しようとすると、かなりの初期費用がかかります。
これらの開発は外注することも可能ですが、外注した分コストもかさんでしまいます。
まず開発前に、「Shopify」や「BASE」などのサービスを利用しながらなるべくコストをかけずにD to Cに転換していくというのも一つの方法です。
顧客が商品に触れて確かめる事ができない
DtoCは、オンラインで販売するパターンが多いため、顧客が実際に商品を手に取ることができない点も大きなデメリットと言えます。
SNSやサイト上で商品情報をできるだけわかりやすく発信したり、実物大の写真や動画を利用したりと商品の詳細が伝わるような工夫が必要です。
また、定期的にポップアップイベントを開催することも効果的なのでおすすめです。
集客や情報発信を自社で行う必要がある
集客や情報発信を自社で行う必要があるという事もDtoCのデメリットと言えるでしょう。
Amazonや楽天市場などの大手ECサイトの集客力を利用しない分、自社での集客や情報発信にはどうしても手間がかかってしまいます。
自社でやるべき事が増える分、人件費や運用費は増えてしまうので、状況によってはこれまで通り仲介業者に依頼したほうが利益を確保できる可能性もあります。
DtoCを取り入れるパターンと、仲介業者に依頼して販売するパターン両方をシュミレーションして、本当にDtoCを取り入れるべきなのか社内で慎重に検討する必要があります。
国内での成功事例
ここからは、DtoCの国内の実際の事例について紹介していきます。
異なる業界や分野でも、ビジネス思考やマーケティング方法などはとても勉強になると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
Minimal(ミニマル)
参考:Minimal公式HP
国内での成功事例1つ目は、チョコレートブランドMinimalです。
Minimalは、カカオ豆の仕入れからチョコレートづくりまで、商社や加工メーカーなどの仲介業者を省いて、全て自社工房で職人たちが手作業で行っています。
それだけでなく、アフリカなどの生産者のいる地域に直接出向いて、適正な価格で原材料を買い付けるフェアトレードも行っており、顧客に支持されています。
Minimalは、実店舗を持っており、店頭にはチョコレートへのこだわりを綴った説明書を設けるなど、顧客にファンになってもらう施策も実施しています。
さらに、SNSブランディングや、EC限定のトライアルセットの販売、毎月チョコレートが届く定期便などのオンラインの施策にも取り組んでいます。
このように、店舗でのブランド体験を通した口コミやPRによるメディア露出に力を入れた結果、広告を積極的に活用せずとも、Minimalはオーガニックな広がりを見せています。
Minimalは、独自のブランディングをSNSや実店舗を通して顧客に浸透させたD to Cの好例と言えるでしょう。
CRAFT X
参考:CRAFT X
2020年に立ち上がったクラフトビールブランドCRAFT Xも、DtoCブランドの一つです。
CRAFT Xの特徴は、顧客の声を元に短期間で商品をアップデートできる点です。
CRAFT Xでは、定期的なテスト販売で購入者にアンケートを実施し、そのフィードバックを元にレシピを変更するという方法で、顧客とともにブランドを創造しています。
ブランドを立ち上げた長谷川さんは、出張先のサンフランシスコで飲んだクラフトビールの美味しさに感動し衝撃を受けました。
その感動と衝撃がきっかけとなり「こういったクラフトビールを日本でも作り自分と同じ体験を味わってもらいたい」という思いからブランドを設立しました。
またCRAFT Xは、二次元バーコードが基調となるパッケージにすることで、顧客に新体験を提供しています。
この二次元バーコードからは、「Tipsy by CRAFTX(ティプシー:英語でほろ酔いという意味)」にアクセスすることができます。
Tipsy by CRAFTXでは、CRAFT Xの味わいの秘訣や、生産者についてなど、顧客が楽しめるコンテンツが並んでいます。
長谷川さんの「消費者と継続した関係を築いていく」という思いは、DtoCビジネスを行う上でとても参考になる大切な考え方だと言えます。
土屋鞄製作所
参考:土屋鞄製造所公式HP
国内でのDtoC成功事例3つ目は、ランドセル作りから始まった土屋鞄製造所です。
1965年から創業している会社がなぜ突然ここまでの急成長を遂げたのか?
その理由は大きく2つに分けられます。
1.リピートを促進する仕組み作り
2.コンセプトの統一
この2つのポイントは、他の業界でも十分応用できるので、一緒に確認していきましょう。
1.リピートを促進する仕組み作り
1つ目は、リピートを促進する仕組みづくりです。
土屋鞄製作所は、以前までランドセルを子供のために作っていましたが、視点を「大人が選ぶ子供のためのランドセル」へと変えたことで、市場価格の2倍以上もするランドセルを人気商品に成長させています。
またこのランドセル購入を入り口に、購買力のある両親や祖父母たちを土屋鞄製作所のファンにすることで、一般革製品の購入へと繋げています。
さらに土屋鞄製作所は子供がランドセルをねだる絶好のタイミングである8月にWeb広告を増やしています。
これらは顧客の視点で物事を考えられている企業の素晴らしい施策と言えますね。
2.コンセプトの統一
土屋鞄製作所急成長の理由2つ目は、コンセプトの統一です。
土屋鞄製作所は、メルマガ、Webサイトの画像、文章など全てにこだわってコンセプトを統一しています。
コンセプトを統一するため外注はせずにカタログ、メルマガ、オウンドメディア全てを自社で行っています。
これにより、「ランドセルを購入してくれた顧客に、一般革製品を購入してもらう」という具体的な目的を持って自社コンテンツを製作できます。
また土屋鞄製作所のオウンドメディアには、商品そのものだけでなく、製品を作る職人の顔や様子がわかる記事などのコンテンツを地道に発信し続けています。
それにより、製品の価値だけでなく、背景にあるストーリーまでを楽しんでもらう工夫が施されています。
このように、コンセプトを統一した徹底的なブランディングを行うことで顧客に愛されるブランドに成長しています。
海外での成功事例
ここからは、DtoCの国外の実際の事例について紹介していきます。
国外の最先端のDtoCビジネスから学ぶことで、日本に適応させたビジネスモデルに応用させていきましょう。
Warby Parker(ワービーパーカー)
参考:Warby Parker
Warby Parkerは、アメリカメディアが発表している「世界で最もイノベーティブな50社」というランキングで2015年には、AppleやGoogleを抑え、1位に評価されたDtoCを代表する企業です。
一体なぜWarby Parkerがこれほどまでに注目を集めているのでしょうか?
それは、DtoCのメリットを最大限活かした3つの経営戦略に秘密があります。
1. 質の高い製品と適正な価格
2.積極的な慈善活動
3.SNSを活用したプログラム
ここでは、その3つの戦略について順に説明していきます。
Warby Parkerの事例から学び、社内のビジネスへ応用させてみてはいかがでしょうか?
1. 質の高い製品と適正な価格
Warby Parkerは、製造と販売との間にいる仲介業者をなくし、社内にデザイナーを抱えたことで、おしゃれでコスパの良いメガネを顧客に提供することに成功しています。
また、実店舗を持たずオンラインストアのみで販売することで、固定費を削減して一般価格の4分の1の価格での販売が可能になっています。
2.積極的な慈善活動
Warby Parkerは、積極的な慈善活動も行っています。
顧客がWarby Parkerのメガネを買うと、慈善団体を通じて発展途上国にお金が寄付されます。
この寄付金は、発展途上国でメガネを手にしたくてもできない人のために活用されます。
これらの活動は、社会貢献に関心のある若い世代に支持され、「メガネを買うことが社会貢献に繋がる」という理由で購買意欲を促進する効果も期待できます。
3.SNSを活用したプログラム
オンラインでメガネを売ることは、今となっては当たり前のことのように感じますが、Warby Parkerが創業した2010年はそうではありませんでした。
顧客はメガネをオンラインで買うことに慣れておらず、試着なしにメガネを買うことに多少の不安を抱えていたはずです。
それを逆手に取ったのが、Warby Parkerの「Home Try-On」というサービスです。
顧客は、この「Home Try-On」を利用すれば、メガネを5本まで選んで試着することができます。
しかも、送料は無料で、気に入ったフレームを選んで送り返すだけでとても手軽に試着ができます。
メガネが顧客の自宅に届くと、Warby Parkerは顧客にInstagramなどのSNS上でハッシュタグをつけて試着姿を自撮りしてアップするように働きかけます。
ブランドの知名度を広げる効果や、顧客と近い距離でコミュニケーションを取れるこのプログラムは、結果としてコアなファンを作ることに繋がっています。
Koala Sleep(コアラスリープ)
参考:Koala sleep
海外のDtoCブランドの成功事例2つ目は、オーストラリアシドニー発のマットレスブランドKoala sleep(コアラスリープ)です。
Koala sleepは、オーストラリアの元ラガーマンが怪我をして寝具の見直しをする際に、寝る人のことを考えたマットレスが市場に少ないと気がついたことがきっかけで開発されました。
Koala sleepは、その品質の高さと顧客目線を意識したサービスの提供で、創業一年目で顧客満足度1位を獲得し、2年目には売上30億円を達成するなど驚異的な数字を叩き出しています。
Koala sleepのPR方法はとてもユニークで、「ワインがこぼれないマットレス」というメッセージ性のある動画も話題になりました。
また、120日間のトライアル期間を設けたり、10年保証を取り付けたりと、プロダクト品質の自信を顧客にしっかりと伝わるような施策も数多く実施しています。
Koala sleepの戦略はそれだけではありません。
移動式快眠ルーム「コアラスリープカー」を走らせ、お昼寝デリバリーを法人向けに提供し、マットレスの知名度を獲得したり、体験スペースを定期的に開催することで、顧客と直接触れ合う機会も設けています。
マットレスを販売するだけでなく「顧客に最高の体験を提供する」という信念がD to Cには大切だとわかる良い例ではないでしょうか。
Glossier(グロッシアー)
参考:Glossier公式HP
Glossier(グロッシアー)はアメリカのミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれた世代)に絶大な人気を誇るコスメブランドです。
Glossierの一番の特徴は、その徹底したブランディングと顧客の声を取り入れる姿勢です。
Glossierはただ商品を売るのではなく、メイクにまつわる体験を通して、顧客の声を積極的に取り入れています。
ブログでは、セレブやインフルエンサーの女性などにメイクに関するコツを聞き、その内容を発信しています。
また、SNS上のフォロワーやブログの読者から頂いた意見を商品開発やサービスの向上に役立てています。
顧客一人ひとりの声を反映して商品開発を行っているので、顧客の「こういうコスメが欲しかった!」を実現することができ、ブランドに対する信頼感やエンゲージメントを高めることに成功しています。
Glossierは、現在オンラインのスキントーンマッチングツールで、自分の顔写真をアップロードすると、どの色が一番自分の肌の色と合うかをおすすめするパーソナライズサービスを始めています。
顧客の理想に寄り添ったDtoCビジネスモデルで進化を続けるGlossierはこれからも、人気を獲得していくこと間違いないでしょう。
DtoCで成功するための3つのポイント
国内外の事例を見ると、DtoCで成功している企業にはいくつかの共通点があることに気がついた人もいるのではないでしょうか?
ここでは、DtoCで成功するためのポイントを3つに分けて紹介していきます。
DtoCビジネスの成功率を少しでも高めるために、一つずつ確認していきましょう。
自社ブランディングを確立する
上記で紹介した国内外のDtoC成功事例全てに共通していたのは、自社ブランディングを確立することです。
自社ブランディングの確立は、DtoCで成功する上で最も重要と言っても過言ではありません。
自社ブランディングを確立するための方法としては、顧客に体験してもらいたいことをわかりやすく統一して伝えることです。
そのためにも、誰にどんな時に自社製品を使ってどうなってもらいたいのか?ということを事前にできる限り細かくペルソナを決めておくことが大切です。
ECサイトで集めた顧客情報をもとに商品開発を行う
ECサイトで集めた顧客情報をもとに商品開発を行っていくことも、DtoCで成功するための大切なポイントです。
製造から販売まで全てを自社で完結させるのは簡単なことではありませんが、苦労して集めたこの顧客情報をもとにPDCAサイクルを回し続けることで、顧客の求めているものが形となって現れます。
その声に親身になって商品開発を行っていくことがDtoCビジネスにおいて大切なことです。
顧客のためを思って商品のアップデートを続けていくことが自社ブランドの確立にも繋がってきます。
SNSを上手く活用する
DtoCで成功するためには必要不可欠なのが、SNSを上手く活用することです。
成功しているほとんどの企業では、SNSを用いて自社ブランドの世界観を顧客に直接届けることに力を入れています。
SNSを活用する際に意識したいこととしては、SNSでの情報発信の前に、何を誰に発信していくのかについても社内で明確に決めておく必要があります。
さらに、一方的な情報発信ではなく、顧客とより活発なコミュニケーションを取ることで、顧客の細かなニーズに気づけたり、より世界観を伝えられるようになったりします。
これらの3点を意識してDtoCに取り組むことで、成功確率はかなり高まるでしょう。
今回紹介した国内外の事例も参考にして、どの方法が一番自社に合っているか検討してみてください。
まとめ
今回は、DtoCの基本的概念、メリット、国内外の成功事例などを紹介しましたがいかがでしょうか?
DtoCは、SNSが普及した現代で顧客と近い距離で取引できるビジネスモデルとして近年注目を集めています。
DtoCで製造をOEM(外注)することで、製造のための設備投資を省くことができ、初期費用が抑えられるというメリットもあります。
そのためDtoCビジネスはリスクを抑えてビジネスを展開させたいという方にとって最適な選択ではないでしょうか?
本記事で紹介した国内外の実際の事例を参考にして、どの方法が一番自社に合っているか検討してみてください。
本記事がDtoCについて興味を持つきっかけになれば幸いです。
監修者:本荘 幸大
卒業後は株式会社船井総合研究所に入社し、ヘルスケア業界やフィットネス業界、飲食業界など幅広い業界のコンサルティングに従事。その後2022年4月より最年少メンバーとしてNOVASTOに入社し、リユース・リテール企業へのコンサルティングを行いながら社内ではマーケティングチームの立ち上げも行っている。