店舗受け取り(BOPIS)とは?導入効果と、現場が回らなくなる前に設計すべきこと
店舗受け取りは、ECで購入した商品を実店舗で受け取れる仕組みです。BOPISとも呼ばれ、送料がかからず好きなタイミングで受け取れることから、利用者の支持を集めています。
導入企業のなかには、顧客の7割から9割が店舗受け取りを選択しているケースもあります。効果は大きい一方で、見落とされがちな論点があります。受け取り対応を担うのは店舗のスタッフだということです。ピッキング、取り置き、受け渡し。
これらは既存業務に上乗せされる新たな作業です。しかもEC売上として計上されるなら、店舗には手間だけが残ります。本記事では、店舗受け取りの効果と仕組みを押さえたうえで、現場が回り続けるための設計を解説します。
目次
店舗受け取り(BOPIS)とは
仕組みと基本的な流れ
店舗受け取りとは、ECサイトやアプリで購入した商品を、指定した実店舗で受け取る仕組みです。英語のBuy Online, Pick-up In Storeを略してBOPIS(ボピス)とも呼ばれます。
基本的な流れは次のとおりです。
- ① 顧客がECサイトで商品を選び、受け取り店舗と日時を指定して決済
- ② 店舗が注文を確認し、在庫を確保して受け取り準備
- ③ 準備完了を顧客へ通知
- ④ 顧客が来店し、商品を受け取る
クリック&コレクトとの関係
BOPISと近い用語に「クリック&コレクト」があります。いずれもオンラインで注文した商品を自宅配送以外の方法で受け取る仕組みとして使われます。
一般にBOPISは「オンラインで購入し、実店舗で受け取る」形態を指します。一方、クリック&コレクトはBOPISとほぼ同義で使われる場合もあれば、店舗・ロッカー・その他の受取拠点などを含む、より広い意味で使われる場合もあります。
用語の使われ方には企業やサービスによる違いがありますが、本記事では「ECで購入した商品を自社の実店舗で受け取る仕組み」をBOPISとして解説します。
注目される背景
店舗受け取りが広がった直接のきっかけは、コロナ禍における非接触ニーズでした。店舗での滞在時間を短くしたいという需要に応える形で、導入が加速しています。
その後も関心が続いているのは、別の理由があるためです。配送ドライバーの不足や再配達の問題が深刻化するなか、物流の負荷を下げる手段として評価されています。梱包資材の削減という環境面での効果もあります。
つまり一時的なトレンドではなく、構造的な課題への対応策として位置づけられているということです。
店舗受け取りの効果
想像以上に選ばれている
注目すべきは、導入企業での選択率の高さです。
衣料品チェーン大手のしまむらでは、ECサイト利用者の約9割が実店舗での受け取りを希望しているとされます。同社はこれを当初の想定より高い数値とし、オンラインストアと実店舗の相互送客に効果を発揮していると評価しています。
作業服を扱うワークマンでも、顧客の約7割が店頭受け取りを選択しているとされ、実店舗への誘導に成功しています。
店舗受け取りは、一部の顧客だけが使う補助的な機能ではなく、主要な受け取り手段になり得るということです。
併用顧客の価値が高い
ユニクロが公表した数値では、ECと実店舗を併用しているユーザーの年間購入金額と購入回数が、単独チャネルの利用者より突出して高いことが示されています。
店舗受け取りは、この併用顧客を生み出す仕組みです。ECだけの顧客を店舗へ、店舗だけの顧客をECへ。相互に送客することで、顧客あたりの価値が高まります。
事業者側の主なメリット
- 物流コストの削減:個別配送が不要になり、店舗への定期便に相乗りできる
- かご落ちの防止:送料と配送待ちという離脱要因を取り除ける
- ついで買いの発生:来店時に他の商品も購入される機会が生まれる
- 店舗在庫の活用:倉庫在庫だけでなく、店舗の在庫も販売対象にできる
- 接客機会の創出:受け取り時にスタッフとの接点が生まれる
顧客側のメリット
- 送料がかからない
- 好きなタイミングで受け取れる。在宅する必要がない
- 実物を確認してから受け取れる
- サイズ違いなどがあれば、その場で返品や交換ができる
- 店舗で商品を探す手間がなく、滞在時間を短縮できる
導入の前提|在庫をどう引き当てるか
店舗受け取りを安定して運用するうえで重要なのが、EC上で注文可能とする在庫と、店舗・倉庫にある実在庫をどのように連携・引き当てるかという設計です。
注文可能な在庫を正確に管理する
店舗在庫をEC注文へ引き当てる場合、店頭販売とEC注文が同じ在庫を取り合う可能性があります。
店頭で販売された直後にEC注文が入り、商品を確保できなければ、注文キャンセルや受取店舗の変更が必要になる場合があります。
そのため、在庫情報をできるだけ迅速に連携することに加え、安全在庫やEC向け販売可能在庫、注文後の引当ルールなどを設計し、実際に確保できる数量以上を販売しない仕組みを整えることが重要です
どこの在庫を引き当てるか
設計の分かれ道になる論点です。代表的には次のような方式があります。
- 倉庫在庫から引き当て、店舗へ配送する方式:店舗の在庫を消費しないが、リードタイムが発生する
- 受け取り店舗に在庫があれば、倉庫から店舗へ移送する方式より短いリードタイムで受け渡せる場合がある
後者は顧客体験が優れる一方、店頭に並んでいる商品を確保することになるため、来店客が買えなくなるという事態も起こります。
現実的には両方を併用し、店舗に在庫があれば当日、なければ倉庫から取り寄せという設計が多く採られています。
引当のタイミングを決める
注文が入った瞬間に在庫を確保するのか、店舗が確認して承認した時点で確保するのか。この設計も明確にしておく必要があります。
前者は確実ですが、キャンセルが発生すると在庫が一時的に塩漬けになります。後者は柔軟ですが、承認までの間に店頭で売れてしまうリスクが残ります。
▼関連記事:リアルタイム在庫管理の実現方法|必要性・メリット・システム選びまで解説
現場が回らなくなる前に設計すべきこと
店舗受け取りの解説記事の多くは、メリットを列挙して終わります。しかし実際に運用するのは店舗のスタッフです。
店舗に発生する新たな業務
店舗受け取りを導入すると、店舗には次の作業が上乗せされます。
- 注文の確認と在庫の確保
- 商品のピッキングと取り置き
- 準備完了の通知
- 取り置き商品の保管スペースの確保と管理
- 来店時の本人確認と受け渡し
- 期限を過ぎた未受け取り商品の売場戻し
接客や売場づくりと並行して、これらをこなすことになります。注文が増えるほど負担は重くなり、繁忙時間帯と重なれば通常業務にも影響が出ます。
保管スペースという物理的制約
見落とされやすいのが場所の問題です。取り置き商品を保管するスペースが必要になりますが、バックヤードに余裕のある店舗ばかりではありません。
とくに都市部の小型店では、この制約が導入の可否を左右します。受け取り期限を短く設定する、対応点数に上限を設けるなど、店舗の条件に合わせた運用ルールが必要です。
売上の計上先を設計する
最も重要な論点です。店舗受け取りの売上を、どの部門の実績とするか。
EC部門の売上としてのみ計上すれば、店舗には作業だけが残ります。この状態では、スタッフが積極的に協力する理由がありません。忙しい時間帯に受け取り対応が入れば、負担としか感じられないでしょう。
作業する店舗が評価されない設計では、運用は定着しない
店舗受け取り分を店舗の実績としても計上する、あるいは対応件数を評価項目に含めるなど、貢献が可視化される仕組みを併せて設計してください。
技術的な問題ではなく制度の設計が、オムニチャネル施策を止めていることは少なくありません。
人員配置を見直す
新しい業務が増えるなら、その分の工数を織り込む必要があります。
受け取りの申し込みが集中する時間帯を把握し、スタッフの配置を調整する。あるいは受け取り可能時間を限定する。受け取り注文が集中する時間帯や店舗ごとの業務量を把握し、必要に応じてスタッフ配置や受け取り可能時間を調整します。最初から対応範囲を広げすぎず、店舗が安定して運用できる条件から始める方法もあります。
▼関連記事:小売業の顧客管理とは?重要性・課題・施策・成功ステップを解説
店舗受け取りの注意点
未受け取りへの対応を決めておく
取り置いた商品が受け取られないケースも想定しておく必要があります。期限を何日に設定し、過ぎた場合はどう処理するかを事前に決めておいてください。
自動でキャンセルして売場に戻すのか、一定期間保管して連絡するのか。ルールがなければ、取り置き商品が滞留し、保管スペースを圧迫します。
返品・交換の窓口を明確にする
店舗受け取りの利点のひとつが、その場で返品や交換ができることです。ただし運用ルールが曖昧だと、現場が判断に迷います。
EC購入分を店舗で返品した場合、どちらの売上から控除するのか。返金は現金か、決済したクレジットカードへの返金か。決済方法によって処理が異なるため、事前に整理しておく必要があります。
全店で一律にしない
店舗ごとに立地も規模もスタッフ数も異なります。バックヤードの広い郊外店と、狭小の駅ナカ店では対応可能な範囲が違います。
全店で同じ条件を課すのではなく、店舗の規模に応じて対応点数や受け取り時間を変える設計も検討してください。無理な運用を強いれば、現場は疲弊し、サービス品質も落ちます。
導入までの4ステップ
STEP1|在庫連携と引当の仕組みを整える
店舗在庫をEC注文へ利用する場合は、店舗・EC間で在庫情報を連携し、注文時にどの在庫を確保するかを管理できる仕組みが必要です。
必ずしもすべての在庫を一つのシステムで管理する必要はありませんが、EC上の注文可能在庫と実際に確保できる在庫の乖離を抑えられる状態を整えておきましょう。
STEP2|運用ルールを決める
受け取り期限、対応時間、在庫の引当方式、本人確認の方法、未受け取り時の処理。これらを事前に決め、文書化してください。
曖昧なまま始めてしまうと、店舗ごとに対応が異なり、顧客からの問い合わせも増えます。
STEP3|一部店舗でテストする
全店一斉ではなく、条件の良い店舗から始めることをおすすめします。バックヤードに余裕があり、スタッフに余力のある店舗で検証すれば、問題を洗い出せます。
先行店舗で運用が回り、成果が見えてから展開するほうが、現場の納得も得やすくなります。
STEP4|顧客への告知と導線設計
仕組みを用意しても、知られなければ使われません。EC上での選択肢の見せ方、店舗での告知、既存顧客への案内。これらを整えて初めて利用が広がります。
あわせて、受け取り場所まで迷わず到達できる案内や、受け渡しをスムーズに行える導線を整えることも重要です。
一方、店舗受け取りはEC顧客が実店舗を訪れる接点でもあるため、受け取り場所の周辺に関連商品を展開する、必要に応じてスタッフが商品案内を行うなど、顧客体験を損なわない範囲で追加購入の機会を設計することもできます。
実際に、しまむらでは2025年2月期に店舗受け取り利用者の41.7%が受け取り時に「あわせ買い」をしており、店舗送客が実店舗売上にも寄与していることが公表されています。
店舗受け取りを含む店舗・EC連携なら、業種特化型クラウド基幹システムRECOREがおすすめ

ECと実店舗を連携し、店舗受け取りなどオンラインとオフラインを組み合わせた購買体験を実現したい小売・リユース業の場合は、業種特化型のクラウド基幹システム「RECORE(リコア)」が有力な選択肢となります。
小売・リユース業向けに設計されたクラウド基幹システム「RECORE(リコア)」は、買取・仕入・販売(POS)・EC・在庫管理・顧客管理・KPI分析までを一元管理できるクラウド型のオールインワン基幹システムです。在庫情報は販売や買取、仕入と同時に自動更新され、実店舗とECを横断したリアルタイム管理が可能です。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなど、小売・リユース業界向けの複数ECモールとの連携にも対応しています。

また、今までバラバラに契約していたシステムをRECORE一つに集約することで複雑なデータ連携の必要性も無くなり、ITコストを抑えることが可能です。さらに、コストや時間的制約などのハードルの高さから基幹システムのリプレイスを検討はしていてもためらっていた方でも、RECOREをサテライト基幹システムとして位置付け、RECORE APIで既存の基幹システムと連携し必要な機能だけ導入する、パッケージ型SaaSの枠を超え、既存基幹システムとAPI連携し、必要な機能を部分導入した事例もあります。
店舗・ECの在庫・販売情報を一元管理し、店舗受け取りをはじめとしたオンラインと実店舗を横断する販売体制の構築や、オムニチャネル化による顧客体験・利便性の向上につなげたい場合は、業種特化型クラウド基幹システムRECOREの導入を検討することがおすすめです。
まとめ|仕組みと制度の両方を設計する
本記事では、店舗受け取り(BOPIS)の仕組みとメリット、在庫引当の考え方、店舗に発生する業務、そして導入時に検討すべきポイントを解説しました。
店舗受け取りは、顧客に新たな受け取り方法を提供すると同時に、EC顧客が実店舗を訪れる接点にもなります。しまむらやワークマンのように、EC注文のなかで店舗受け取りが高い比率を占める企業もあります。
一方、店舗受け取りを安定して運用するためには、在庫連携や引当の仕組みだけでなく、ピッキング、保管、受け渡し、未受け取り対応など、店舗側のオペレーションを設計する必要があります。
導入を検討する際は、店舗・EC間で注文可能在庫を正確に管理できるか、店舗スタッフが無理なく対応できるか、店舗の貢献をどのように評価するかまで含めて確認しましょう。



LINEミニアプリ
宅配買取機能
質機能
トレカ自動査定
ささげ代行サービス
周辺機器一覧
周辺機器オンラインショップ
出品管理サービス
出品代行サービス
ECサイト分析ツール
リユース参入支援

LINEミニアプリ
宅配買取機能
質機能
トレカ自動査定
ささげ代行サービス
周辺機器