オムニチャネル化するなら知っておきたい在庫管理の成功ポイント4選
オムニチャネルとは、複数のチャネルを1つにまとめて管理し、顧客の購買体験の利便性を向上させていく考え方です。
顧客の購買行動がECへと移り変わっている現代社会の中では、オムニチャネルの実施は、企業にとって必要不可欠なものだと言えます。
オムニチャネルを実施することで、販売チャネルを増やし売上の増加が期待できる一方で、在庫管理が複雑化するという課題も発生します。
オムニチャネル化に成功している企業のほとんどは、この在庫管理の課題もうまく解決しています。
そこで今回は企業がオムニチャネル化する際に、知っておきたい在庫管理の4つのポイントについてご紹介していきます。
合わせて、在庫管理を行う具体的な方法についても解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
オムニチャネルとは?
オムニチャネルとは、複数のチャネルを1つに統合し、一貫した顧客体験を提供することを意味します。
消費者が商品を買う際に、実店舗やEC、Webサイトなどのオンライン・オフライン両方のチャネルでも変わりなくスムーズに購入ができる状態になることを指します。
例えば、ユニクロの実店舗に購入したい服がなかったとしましょう。
そのような場合でも、オムニチャネルに取り組んでいることで、顧客はECサイトから服を購入し、商品の受け取りは最寄りの店舗で行うことができます。
このようにオムニチャネルを実施することで、商品を都合の良い時に好きな場所での受け取ることが可能になります。
また、忙しくて店頭まで足を運んでいる時間がない人や、買い物に行くのが億劫な人にとっては、ネットショッピングは買いに行く手間が省けるとても便利なツールに感じるはずです。
消費者にとって、商品の購入がしやすく、満足のいく買い物ができる環境を整えることは、また利用したいと思わせる大きな要因となります。
オムニチャネルを導入することで、利用者の満足度が向上し、リピート率や売り上げ向上を狙えるでしょう。
オムニチャネル化する企業が知っておくべき在庫管理のリスク
複数の販路で販売していると、在庫管理が複雑になり従業員の負担も大きくなっていきます。
オムニチャネルに取り組み始めた企業では、気づかずうちに在庫管理の工数が重くなっているという問題を抱えているケースも少なくありません。
ここでは、オムニチャネルを実施していない企業が抱える在庫管理のリスクについてご紹介していきます。
在庫切れ・過剰在庫のリスク
1つ目は、在庫のストックについての問題です。
ECサイトを介して商品を購入することが当たり前になっている近年、実店舗とECの両方で同時に販売を行う併売を行っている企業は少なくないはずです。
トラブルが起こりうる一例として、通販と実店舗で売る商品の在庫を別々に管理しているケースです。
実店舗とECの在庫状況がきちんと連携できていないと、通販で注文が入ったのに、実店舗でストックしてた分が売れてしまって品切れになるといったトラブルが発生しかねません。
在庫切れを防ぐ方法としてあらかじめストックを多く持つことが挙げられますが、この場合チャネルの数だけ在庫数が倍増するリスクが浮上します。
在庫を管理するスペースを広く持たなければならないうえ、在庫の数だけ管理に要する手間も多くなってしまうでしょう。
さらに、売れ残りの在庫は経年的な品質の劣化や、時代遅れによる陳腐化が目立ってくるなど様々な問題も起こります。
保管スペースは圧迫され管理費用もかさみ、過剰在庫分は値下げして売るか、最終的には廃棄処分するしかなくなってしまうのです。
いずれにしても、余分な在庫はそのままにしておくと維持費用などのコストがかかるため、自社の適正在庫を見極めて商品を仕入れていく必要があります。
欠品による受注キャンセル
前項で述べたように、ECと店舗で別々に在庫を管理していると、ECサイトからの受注と実店舗で同じ商品が購入される「売れ違い」が発生してしまい、受注キャンセルなどのトラブルに発展するリスクがあります。
このような問題が頻繁に発生していると、顧客からの信頼を失ってしまう恐れもあるため、「売れ違い」を未然に防ぐ工夫を行っていくことが大切です。
実際のところオムニチャネルを目指す事業者が、それぞれの会社や自社のECサイトなどで自身の商品を複数展開しているケースは決して珍しくありません。
それぞれのチャネルの在庫状況を一元化し、「実店舗で商品が購入されるとECの在庫数にも自動反映させる」というようなシステムを利用することも「売れ違い」を防ぐ1つの方法です。
ヒューマンエラーの増加
先ほどもお伝えしたように、複数の販売チャネルの在庫状況を別々に管理していると、管理工数が複雑になり、従業員の負担も大きくなります。
例えば、実店舗で商品が購入されるたびに手動でECの在庫数を変更したり、売上集計を実店舗とECの2回に分けて行う必要があったりします。
手動で行う業務が増えれば増えるほど、ヒューマンエラー増加のリスクが高まってしまいます。
そのため、複数チャネルで販売を行っている企業の多くは、在庫管理システムを導入し、在庫管理を一元化しています。
在庫管理の人的ミスの削減と工数削減を実現したいと考える場合は、在庫管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
オムニチャネルに対応した在庫管理を行う方法とは?
それではオムニチャネル化する企業は、どのような在庫管理を行っていくことで、前述したようなリスクを未然に避けることができるのでしょうか。
オムニチャネルに対応した在庫管理を行なう方法としては一般的に
- Excelなどで管理を行う
- 在庫管理システムを活用する
の2つの方法があります。
ここからは、それぞれどのような方法で管理するのか、またどちらのほうがおすすめの管理方法なのかについて確認していきます。
Excelなどで管理を行う
まず1つ目は、Excelを使った在庫管理の方法です。
Excel上に在庫数の把握のために関数を入力し、項目が隠れてしまわないよう、ウィンドウ枠を固定する方法になります。
簡単に行える一般的な方法ですが、この方法で管理できるのは取引が小規模で品目数が少ない場合のみです。
複数で運用すると、同期のタイミングで不具合が起こりがちというデメリットもExcelには存在します。
個人の運用が相応しく、多くとも2、3人までが理想的だと言われています。
大人数で運用してデータ数が増えすぎてしまうと、処理に時間がかかり、画面がフリーズしたり最悪ファイルが壊れたりする可能性もあるため、企業の規模が拡大し、データ数が膨大になった時は、これから説明する「在庫管理システム」の導入をおすすめします。
在庫管理システムを活用する
前項で軽く触れましたが、2つ目の管理方法は、在庫管理システムの導入です。
在庫管理システムを導入することで、複数の倉庫や店舗の在庫情報が、リアルタイムで正確に把握できます。
また、在庫管理システムは同一のシステム上で拠点別に管理でき、その分顧客のニーズに合わせた対応も可能です。
皆さんの中にも、どうしても今日中に購入したい商品があって探し回るという経験があるかと思います。
そのような場合にも、在庫管理システムで店舗ごとの在庫状況を可視化できるようにしておけば、どの店舗に行けば商品が手に入るのかを理解した上で、その店舗に顧客を促すことができるようになります。
このように、在庫を社内で適切に管理することは、顧客の利便性を高めることにもつながります。
オムニチャネル化するなら知っておきたい在庫管理の成功ポイント4選
オムニチャネル化する企業が知っておくべき在庫管理のリスクについて紹介してきました。
冒頭でもお伝えしたように、オムニチャネルを実施する企業では、在庫管理の業務工数の増加が課題になります。
しかし、オムニチャネルを実施しながらも、在庫管理の業務工数の削減に成功している企業がいることも事実です。
ここでは、オムニチャネル実施後に行うべき在庫管理の成功ポイントを4つご紹介します。
4つの成功ポイントとは具体的に
- 販売チャネルに関係なく一貫した購買体験の提供する
- データの一元化による需要予測
- 欠品による販売機会の損失を防ぐ
- 売れ筋死に筋商品の把握と在庫の適正化
以上のポイントが挙げられます。
ここからは、これら4つのポイントについて1つずつ解説していきます。
販売チャネルに関係なく一貫した購買体験の提供する
在庫管理システムを導入することにより、手間をかけずに複数の店舗や倉庫の在庫の情報を可視化することができます。
事業のオムニチャネル化を目指すのであれば、顧客がどのチャネルを選択しても同じように商品・サービスを購入できるようにする必要があります。
もっと言えば、このような一貫した購買体験を提供するためには、各チャネルの在庫状況をリアルタイムで把握しておかなければなりません。
つまり、在庫管理が一元管理できていない状況下では、オムニチャネルもままならないため、オムニチャネル化に注力したい企業こそ、在庫管理を徹底して行うべきです。
データの蓄積による需要予測
在庫情報を管理するにあたって、それぞれの在庫がどの販売チャネルでどのくらい需要があるのかを分析することは経営の業界においては重要です。
在庫管理システムにおけるデータに確実性が無ければ、在庫の需要予測の認知がままならず、在庫過剰による保管スペース不足もしくは在庫切れによる顧客離れのリスクが増加します。
オムニチャネル化している企業は、多様化した購買経路の中でデータを蓄積していくことで、顧客の行動履歴の分析なども実行できます。
例えば、SNSから最も多く流入していれば、SNSでの顧客接点を増やしたり、ECでの流入が多ければ、ECで活用できるクーポンを配布する施策を行ったりするといった対策が可能になります。
欠品による販売機会の損失を防ぐ
在庫管理システムなどでは在庫情報をリアルタイムに確認することができます。
この機能により、在庫が足りないことによる欠品が原因で顧客の購入機会を防ぐことにつながります。
Excelなどのアナログな管理方法では入荷情報などをリアルタイムに把握することが難しい場合も多々あります。
最新の在庫状況が把握できていない(例えば実際には入荷されていてもオンライン上で品切れと表示されている)場合、その期間中は商品が購入される機会が損なわれたことになります。
顧客がその商品を欲しているタイミングを逃してしまえば、別日に他店で購入される可能性も否めません。
しかし、在庫管理システムを導入していれば、顧客の購入タイミングを見逃してしまうリスクを回避できます。
また実際に欠品していた場合でも、オムニチャネルの在庫を一元管理することにより、他チャネルへ誘導もできるでしょう。
リアルタイムでの在庫情報の把握は、欠品による購入機会損失のリスクへの備えになるのです。
売れ筋死に筋商品の把握と在庫の適正化
売上の良い商品と売れ行きの悪い商品である売れ筋商品と死に筋商品を見極めることも、オムニチャネル化する企業の在庫管理を成功させる上では非常に重要です。
しかしながら、各チャネルで別々に在庫管理を行っていると、どの販売チャネルで何がどれだけ売れたのかという情報がわかりずらくなってしまい、過剰在庫を生み出すリスクにも繋がってしまいます。
売れ筋商品は多めに仕入れる、死に筋商品の在庫数は減らすなど、社内で在庫の適正化を図っていくことが、企業のオムニチャネル化を成功に導く秘訣です。
在庫管理システムの選び方とは?
一言で、在庫管理システムと言っても、その種類はたくさんあり、どれを選んだらいいか分からない方も多くいるでしょう。
今回はそんな方のために、在庫管理システムを選ぶにあたって、ここだけは抑えておいて欲しいというポイントをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
受注管理システムと在庫管理システムが一体化しているものを選ぶ
1つ目のポイントは、受注管理システム(OMS)と在庫管理システム(WMS)が一体化しているサービスを選ぶことです。
受注管理システムとは、受注に関わる一連の業務を管理するシステム、在庫管理システムとは、複数のチャネルの在庫状況を一元管理管理できるシステムを指します。
様々な商品を販売しているモールや、ショッピングカートの一元管理が必須なオムニチャネルでは、OMSとWMSの間に人の手が加わってしまうと、人為的なミスの増加や、作業時間の増加の原因となってしまいます。
リアルタイムの在庫管理を困難にする原因にもなるのです。
受注から在庫管理までの動作を自動で行なってくれるかどうかが選択基準になるでしょう。
目的に対してコストが見合っているかどうかを見極める
2つ目の選択基準は、目的に対して導入コストが適切かどうかです。
コストの把握は、自社にとって適正かどうかの重要な判断材料となります。
料金体系の分かりやすさに着目してみれば、より相応しい在庫管理システムを判断できるでしょう。
導入費が高額な場合、小規模の企業ではコストが見合わない可能性もあります。
安心して利用するためには、企業の成長に合わせた価格設定がされているかのチェックは欠かせません。
自社で活用したい機能が揃っているか確認する
3つ目のポイントは、選択する在庫管理システムに、自社で活用したい機能が揃っているかを確認することが挙げられます。
在庫管理システムによって搭載されている機能は様々で、例を挙げると在庫管理、受注管理などのほかに、KPI管理など多くの機能が存在します。
現在、自社が必要とする機能に優先順位をつけて、コストと相談しながら複数の企業に見積もりをとって比較することをおすすめします。
オムニチャネル化と在庫管理の工数削減を両立させるシステムReCORE
先ほど、在庫管理システムの選び方についてご紹介しましたが、結局それらの条件を満たしたシステムって一体どれなの?という疑問を持った方もいるかと思います。
本記事では、企業のオムニチャネル化と在庫管理の両方をサポートするためのシステムReCOREについてご紹介していきます。
ReCOREはリユース・リテール向けのクラウド型POSシステムで、販売買取機能はもちろん、在庫管理機能やEC出品機能、顧客管理機能などが搭載されています。
ReCOREにはその他にも多数の機能が搭載されていますが、今回は、在庫管理機能、EC機能、顧客管理機能の3つの機能に絞ってご紹介させていただきます。
在庫管理機能
ReCOREには、複数の販売チャネルの在庫状況を一元管理できる在庫管理機能が搭載されています。
ReCOREの在庫管理機能では、在庫数だけでなく在庫の原価率や入庫から何日が経過したのかなどの情報までを簡単に確認できます。
これにより、どの在庫が企業の売上向上に貢献しているのか、またどの在庫が売れずに残っているのかなどの情報を把握することができます。
もちろん、A店舗やB店舗というように店舗ごとの在庫状況も簡単に閲覧できるため、A店舗の在庫をB店舗から取り寄せるというような店舗間の在庫移動も実現できます。
ReCOREの在庫管理機能は、オムニチャネル化を目指していて、なおかつ複数店舗の在庫連携に課題を感じているという企業にとっては最適な機能となっています。
複数EC同時出品機能
ReCOREの複数EC同時出品機能では、Amazon、Yahoo!オークション、楽天市場、メルカリShops、楽天ラクマ、ShopifyなどのECモールに同時出品が可能です。
特にその中でも、Shopifyとは在庫と会員データを完全同期することで、強力なオムニチャネルを実現することが可能です。
これまでは、各ECモールに1つずつ出品を行っていた企業も、ReCOREの複数EC同時出品機能を活用することで、1回の出品で複数の販売チャネルへの出品が可能になります。
EC同期設定機能
オムニチャネルを強化するために、複数のECモールで販売を行っていると、モールごとに販売手数料が異なるために、モールごとに販売価格を調整したいと考える方もいるかと思います。
ReCOREのEC同期設定機能を活用すれば、ReCOREの画面上から複数ECの販売価格を変更することが可能です。
例えば、Amazonでは店頭価格から10%値上げして販売する、楽天市場では、8%値上げして販売するというように、自社の利益率を意識した価格設定を手軽に行うことができます。
ReCOREを活用すれば、オムニチャネル化によって増えてしまった作業工数を減らすことが可能なので、売上の向上と業務の効率化を同時に実現することが可能です。
ECテンプレート機能
同じような商品を何度も出品しているような企業の場合だと、商品情報などをテンプレート化して、出品工数を削減したいと考える方も多いかと思います。
ReCOREでは、何度も出品を行うような情報をテンプレートとしてあらかじめ設定しておくことが可能です。
このECテンプレート機能と複数EC同時出品機能を活用すれば、テンプレートを選択して、出品するECを選ぶだけで、複数の販路に販売を行うことができます。
ECテンプレート機能は、ECモールごとに細かく設定したり、商品のジャンルごとに作成することも可能なため、自社でテンプレートを作り込むことで効率の良いEC運営が実現できます。
顧客管理機能
オムニチャネル化を成功させるためには、在庫管理だけでなく顧客管理にも力を入れていく必要があります。
ReCOREには、顧客管理機能が搭載されているため、リピート客獲得の施策や顧客単価の向上などが期待できます。
ReCOREでできる具体的な施策としては、SMSやメルマガ、LINEなどで直接販促メッセージや割引クーポンを配布することが可能です。
またReCOREには、1年以上来店のない休眠顧客を絞り込むことも可能なので、絞り込んだターゲットにメッセージを送信して来店を促すなどの施策を行うことも可能です。
さらにReCOREでは、LINEミニアプリの会員証を連携することも可能です。
LINEミニアプリと連携することで、顧客はアプリをダウンロードする手間なく、店舗の会員になることができます。
また、自身の保有しているポイントや過去の購入履歴を確認することも可能です。
もちろん、店舗側から顧客にLINE上で販促メッセージを送ることも可能なため、顧客との接点を強化し定期的な購入を促すことができます。
まとめ
事業のオムニチャネル化に伴って、在庫管理の工数が増えて困っている事業者の方は少なくないかと思います。
管理しなければならない在庫の数と販路の増加により人手不足に陥っていくと、企業全体がパンクしてしまうかもしれません。
在庫管理システムを活用すれば、リアルタイムで在庫情報を把握できるため、在庫数による顧客の低下、保管スペースの維持費の負担といったトラブルを未然に防ぐことができます。
本記事の後半で紹介したReCOREでは、在庫管理とEC出品の効率化、顧客管理など、企業のオムニチャネル実現をサポートするための機能を多数搭載しています。
監修者:本荘 幸大
卒業後は株式会社船井総合研究所に入社し、ヘルスケア業界やフィットネス業界、飲食業界など幅広い業界のコンサルティングに従事。その後2022年4月より最年少メンバーとしてNOVASTOに入社し、リユース・リテール企業へのコンサルティングを行いながら社内ではマーケティングチームの立ち上げも行っている。